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投げ銭は経費になる?YouTube・ライブ配信への支払いの税務上の考え方

YouTubeのスーパーチャットなどの投げ銭は経費にできるのでしょうか。

趣味の応援、広告宣伝、情報収集、法人からの支出を例に、経費になるケースとならないケース、保存すべき証拠を税理士が解説します。

投げ銭は経費になるの?

ライバーに投げ銭をする画像

YouTubeのスーパーチャット(スパチャ)やTwitchのビッツ、TikTokを含むライブ配信アプリのギフトなど、配信者にお金を送る「投げ銭」が一般的になりました。他にも17LIVEやPococha、FANBOXなどもあり、ライブ配信関連のアプリも増えています。

個人事業主や会社経営者の中には、「仕事に関係する配信へ投げ銭をしたのだから、経費にしてもよいのでは?」と考える方もいるでしょう。

仕事上の投げ銭であれば、所得税や法人税の計算上の必要経費(または損金)にしたいと考えるのは当たり前ですよね。

結論からいえば、投げ銭が個人事業主や法人の経費になる可能性はあります。

ただし、すべての投げ銭を経費にできるわけではありません。判断のポイントは、投げ銭という名称や決済方法ではなく、その支出が事業のために必要だったと具体的に説明できるかです。

税務調査の際に、そういった証明となる資料を保管しておくことも大切です。

国税庁は、個人事業の必要経費について、収入を得るために直接必要な売上原価、販売費、管理費などを必要経費としています。

一方、家事上の費用は必要経費にならず、仕事と私生活の両方に関係する支出は、取引記録などにより業務上必要な部分を明確に区分できる場合に限って経費になります。

経費として認められる可能性があるケース

例えば、自社の商品と視聴者層が重なる配信者に投げ銭をし、配信画面に会社名や商品名、サービス名が表示されることで宣伝効果を期待した場合です。

実際に広告目的であることが明確で、金額も宣伝効果に見合った範囲であれば、広告宣伝費などとして処理できる可能性があります。

また、自分も動画配信を事業としており、競合チャンネルの企画や視聴者の反応を調査するために投げ銭機能を利用した場合や、配信中に専門的な質問を送り、その回答を記事・動画の制作に活用した場合には、調査研究費やコンテンツ制作に関する費用として検討できることがあります。

配信者との間で、投げ銭に応じて会社名の紹介、商品の説明、リンクの掲載などを行う約束があり、実際にサービスの提供を受けている場合は、単なる応援ではなく広告や業務委託の対価という性格が強くなります。税務上は「投げ銭」という呼び方より、誰に、何の目的で支払い、どのような効果やサービスを得たのかが重要です。

その他、投げ銭をすることで、その仕組みや配信者の反応を確認することが、自分のビジネスに直接的に役立つ場合は経費として認められる可能性が十分にあると考えております。

例えば、我々税理士業であれば、「ライバーという仕事が何なのかを理解したり、何度か投げ銭をした事実を作ることでライバーの人に親近感を持ってもらうために投げ銭をする場合」「同じ税理士のライバーに参加して勉強させてもらった場合にお礼として投げ銭をする場合」であれば、それは合理的と言えるので認めてもらえる可能性があると私は思います。

投げ銭を経費にする場合の仕訳に使う勘定科目は何を使うべき?

会計帳簿上で仕訳を切る時の勘定科目については少し悩みますよね。

広告目的の場合は「広告宣伝費」、情報収集の場合は「研修費」や「調査研修費」、顧客など実際にビジネス上の取引があるライバーを応援する場合には「接待交際費」、その他の場合は「支払手数料」などの勘定科目を使うと良いでしょう。

単なる「推しへの応援」は経費にならない

押し活のスパチャやギフトは経費にならないという画像

単にファンだからとか、好きだからという理由の投げ銭は経費になりません。

反対に、好きな配信者を応援したい、名前を読んでもらいたい、配信を楽しみたいといった私的な目的による投げ銭は、原則として経費になりません。

配信内容が自分の仕事と多少関係していても、「いつも参考にしているから」「同じ業界の人だから」というだけでは、事業との関連性を説明するには不十分です。

事業用のクレジットカードや法人口座から支払ったとしても、それだけで経費になるわけではありません。

個人事業主が私的な投げ銭を事業用口座から支払った場合は事業主貸、法人が役員個人の趣味の投げ銭を負担した場合は役員への貸付金や給与と判断される可能性があります。特に法人では、役員給与と認定されても法人税上の損金にならないことがあるため注意が必要です。

「寄附」として控除できるとは限らない

経費にならなくても寄附金控除が使えるのでは、と考える方もいるかもしれません。

しかし、個人の寄附金控除の対象は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対する「特定寄附金」です。一般の配信者やインフルエンサーへの投げ銭は、通常、寄附金控除の対象になりません。

法人の場合、広告などの対価性がなく、純粋な金銭の贈与と判断されれば、広告宣伝費ではなく寄附金として扱われることがあります。

一般の寄附金には損金算入限度額があり、支払った全額を経費にできるとは限りません。

経費にするなら証拠を残しておく

投げ銭を経費として計上する場合は、決済履歴やカード明細だけでなく、配信日時、配信者名、配信ページのURL、支払額、投げ銭をした目的を記録しておきましょう。

会社名や商品名が画面に表示された場合は、その画面のスクリーンショットも有効です。広告掲載や商品紹介の約束がある場合は、契約書、メール、チャットの履歴なども保存します。

「広告のため」「情報収集のため」と後から帳簿に書くだけでは弱く、どの事業や売上につながる支出だったのかを、客観的な資料とともに説明できる状態にしておくことが大切です。

金額が大きい場合や、同じ配信者へ継続的に投げ銭をしている場合は、特に私的なファン活動ではないことを示す必要があります。

スパチャやギフトなどの投げ銭の消費税法上の扱い

スパチャやギフト、ビッツなどの投げ銭は、基本的に消費税法上は仕入税額控除にするのが難しい考えられ、ほぼ不課税取引として処理することになります。これには多くのプラットフォームが海外にあってインボイス発行をしてくれないことが多いこと、そもそも対価性が認められないこともが多いこと、あたりがネックとなるためです。

ただし、一般的な個人向けギフティングとは異なり、BtoB機能やクリエイター支援プラットフォームの一部で、かつ、運営会社(インボイス発行事業者)が手数料や支援金決済に対して適格請求書を発行している場合には仕入税額控除の対象となりうるでしょう。

消費者向け電気通信利用役務の場合、国外事業者側から適格請求書(登録番号付き)の発行を受ける必要がありますが、たとえばYouTubeのスパチャ決済(Google Play / App Store / クレジットカード)では適格簡易請求書の要件を満たす領収データが発行されませんので仕入税額控除の対象外と考えられます。

投げ銭を受け取った側にも税金がかかる

なお、配信活動の対価として投げ銭を受け取っている場合、受取側では事業所得または雑所得として原則として収入になります。

活動の規模や継続性などにより事業所得または雑所得となり、配信機材、通信費、プラットフォーム手数料など、収入を得るために必要な費用を差し引いて所得を計算します。

国税庁も、動画配信による収入は、原則として事業所得または雑所得として確定申告が必要と案内しています(国税庁「こんな収入の申告漏れにご注意」)。

投げ銭は形式が新しいため特別な税務ルールがあるように見えますが、基本的な考え方は通常の支出と同じです。事業上の必要性と対価性が明確なら経費になる余地があり、個人的な応援や娯楽なら経費にはなりません。判断に迷う投げ銭が多い場合や金額が大きい場合は、計上前に税理士へ相談しましょう。

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