税務・資金繰り（芸能法人・芸能プロダクション）

芸能関係の税額計算・資金繰りを考える上で最も経営者や税理士が頭を悩ませるのは、売掛金の入金が遅いことです。この点について、簡単に記載しております。より具体的なお悩みのご相談については、ご連絡頂ければお答えいたします。

一般事業の場合、仕事をしたことに対する売上の入金は、２ヶ月もあれば大体決済されます。ところが、芸能法人やプロダクションの場合は、入金まで３ヶ月、４ヶ月は当たり前、場合によっては半年以上を要します。更に、入金金額も当初の契約金額と変わってくるなんてこともしょっちゅうあります。

ところが、タレントとの専属契約の内容によっては、売上の入金前にタレント報酬を支払う必要が出てきます。ですから、第一のポイントとして、タレントとの専属契約をする際には、入金を待ってから支払を行う旨を定めた方が無難です。ただ、タレントさんとの関係上、あまりに待たせてしまうことは避けたい場合は、予測される入金額の半金を支払っておいて、入金後に残金を支払うような方式とされても良いでしょう。

次に売上に関する法人税法・所得税法の問題です。法人であれ、個人事業主（稀です）であれ、決算書の上では、たとえ未入金であっても売上は損益計算書の売上に計上しなければならないのです。つまり、上述のように入金が仮に半年遅れるような場合であっても、その売上に対する法人税や所得税は先に支払うということが法律に定められています。実際には回収不可能となるリスクが高い売掛金に関しても税額を先に納付する必要があるというのは、税理士としても結構厳しい話だなと感じています。この税額こそが多くの芸能法人・芸能プロダクションを悩ませていることは間違いありません（貸し倒れた場合は、その分の税金は後に減額されます）。

ですから、同業種に関しては、回収サイトを少しでも短くしてもらえればよいのですが、簡単に取引先が応じてくれるとは限りません。そこで必要となるのは、別に預金通帳を1つ作成して日ごろから納税資金を少しずつ貯金しておくということです。そうすることで、税金の滞納及びそれに伴う滞納処分（差押・競売など）を避けることができます。もしくは、金融機関からの融資で少しでも有利になるような決算書を作成して、金融機関からの借入金を取得しておくことです。

よく、芸能法人は借入金ができない、などと言われますし、実際に業種柄、金融機関の信用を得にくい部分があることは事実です。しかし、利益を計上し、実態の伴う資産を有しているのであれば、金融機関も借りてもらいたいと思うものです。入金サイトと支払サイトの関係上、運転資金が多く必要な芸能プロダクションであるからこそ、融資を視野に入れることが必要となります。

財務指標の中で重要と会計指標は、流動比率です。流動比率とは、「現金性の高い資産」と、「すぐに流出する予定の資金」の比率を示した指標で、「流動資産÷流動負債×１００」で計算されるのですが、ここが高ければ、支払サイトの長い企業であっても、資金繰りが安定することを意味しますので。このあたりの資金繰りに関する指標は、渋谷の税理士事務所センチュリーパートナーズが非常に重要視している指標でもあります。利益がしっかりと出ていても、流動比率の状況が悪いと苦しくなってきてしまうのです。ただし、売上の未入金を意味する売掛金があまりにも膨れ上がったために流動比率が高くなっていて、現金預金自体が少ない場合はやはり危険なので、併せて、現金預金を毎月かかる経費の3か月分ほど保有していると非常に安定していると言えるでしょう。

なお、渋谷区や周辺で芸能法人の設立や、個人事務所の開業をご検討の方は、ぜひ一度ご相談くださいませ。当税理士事務所では、守秘義務についても固く守りますので、その点もご安心ください。当税理士事務所のスタッフに関しても、入社時には誓約書をとって、守秘義務については厳しく指導しております。

※余談です。税理士への質問として、芸能事務所を立ち上げる場合、法人と個人事業主のどちらが良いのかというご質問をよく受けます。この業界に関しては、会社設立による起業が良いのではないかと思います。他の会社との契約が法人の方が結びやすいという声が多いためです。もちろん、個人事業の開業もありではありますが。

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