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事前確定届出給与を利用して社会保険料を減額するリスク

事前確定届出給与という税制を利用することで社会保険料を減額するスキームがあります。税理士や社会保険労務士に勧められたことがある社長さんもいらっしゃるかもしれません。事前確定届出給与は役員に対する賞与のようなものです。

毎月支払われる定期同額給与である役員報酬の金額を大きく減少させ、事前確定届出給与で一気に多額の賞与を支給することで社会保険料を減らすことができるのです。なお、事前確定届出給与の金額は役員ごとに定めることができますし、人によって支給したりしなかったりすることもできます。

※社会保険料とは会社で加入する健康保険料と厚生年金保険料のことを言います。

 

社会保険料を減らせるのはお得なスキームであると言えるかもしれませんが、一方ではリスクもありますので、こちらのページで紹介したいと思います。

 

 

リスクその1 手続き失敗によるリスク(届出書の期限には要注意)

事前確定届出給与を利用するには下記のいずれか早い日までに「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する必要があります。この期限までに提出が間に合わない場合は利用できなくなってしまうという危険があり、毎年同制度を利用するのであれば、毎年出し忘れには注意しなくてはなりません。

1.職務執行開始日もしくは株主総会等の決議日のどちらか早い日から1ヶ月後

2.事業年度が開始した日から4か月後

 

法人税法基本通達9-2-16によれば、職務執行開始日とは、定時株主総会において役員に選任されその日に就任した者及び定時株主総会の開催日に現に役員である者については、当該定時株主総会の開催日となることとされています。

つまり、上記の期限日に関しては、定時株主総会の開催日から1ヶ月後もしくは事業年度開始の日から4ヶ月後のいずれかの日となるわけですが、決算後2か月以内に株主総会を開く中小零細企業としては、ほとんどの場合には定時株主総会の開催日の1ヶ月後となるでしょう。

なお、法人税の確定申告書の別表一の「決算確定の日」が基本的には職務執行開始日になるとお考えください。

又、事前確定届出給与の支給日において支払忘れをしてしまっても、やはり損金不算入のリスクが出てきますので、十分にご注意ください。

※新設法人である場合には、設立登記の日後2ヶ月以内に届け出る必要があります。

 

リスクその2 退職金が減少する可能性がある

役員が退職するときに支払われる退職金に関しては、基本的には功績倍率に基づいて計算が行われます。退職時の月額給与と功績倍率と勤続年数を乗じて計算した金額の範囲内であれば、妥当な退職金だとして損金不算入とされる可能性は低くなるのです。

ところが、事前確定届出給与の制度を利用して社会保険料を下げるために、わざと毎月の役員給与を極端に低くしている場合には、万一事故によって働けなくなったり、死亡したりした場合には、その時点における給与月額を利用して税務上認められやすい退職金額が計算されてしまいますので、想定通りの退職金を受け取れなくなってしまう可能性が高まるのです。

こうなると、働けなくなった役員としても、残された家族としてはちょっと辛いところですよね。

※なお、事前確定届出給与の支給日よりも前にその役員が死亡したようなことがあると、その事前確定届出給与は支給することができないと考えられます。あくまでも、その支給日において権利が手に入るのであり、その前の期間に働いていたことに対して受給する権利を手にするわけではないためです。


リスクその3 利益調整に毎年利用していると否認されるリスクがあるかもしれません

事前確定届出給与の届出書を提出しておいて、期末に近いところに支給日を設定すると、利益調整ができてしまいます。法人の利益が順調に出ていればそのまま支給し、思ったよりも利益が出なかったら支給をしないということにして役員報酬年額を調整して利益を調整できるのです。

事前確定届出給与の支給日前に辞退をすることにより、もらわないようにすることができるのですね。

何人かの役員がいれば、そのうち1名が事前確定届出給与をもらわないようにしたりすることで、細かく法人の利益を調整することもできてしまうことでしょう。

なお、所得税法基本通達28-10によれば、給与に関しては、支給日の前に辞退を表明していない場合は課税が行われ、源泉徴収義務が生じると考えられるでしょう。支給日を過ぎてしまって未払の給与に関して辞退をするのであれば、それは給与の支給を止めたのではなくて、法人としては債務の免除を受けたことになるのです。無論、事前確定届出給与の場合には、そもそも支給日を遅れて未払となっていた時点で否認されるリスクが生じるのですが。


リスクその4 そもそも社会保険削減スキームが年金事務所に否定されるリスクもゼロではない

今のところは聞いたことはありませんが、社会保険の削減を目的として事前確定届出給与の制度を利用している場合には、そのスキームそのものを否定されてしまう可能性も全くのゼロとは言えなさそうです。

例えば、定期同額給与を減額させたものの、減額させた金額を役員貸付金として毎月貸し付けておき、事前確定届出給与を支給した後にその貸付金額を役員が会社に返済するようなことをしていると、お金の動きとしてはこれまでと変わらないので、社会保険削減を意図的に行っているとみなされる可能性があります。

厚生労働省は健康保険法、厚生年金保険法における賞与の取り扱いについて、賞与支給が通常の毎月の給与の穴埋めとして行われる実態があると認められる場合には、その賞与額は月額給与に含めて社会保険料を計算するとしています。

今のところは、このスキームが否認されたという話は聞きませんが、こういったスキームに関しては、どこかで対策が講じられてしまう可能性が高いと言えるでしょう。

 

ここまでで説明しましたリスクなどを十分に理解した上で、事前確定届出給与を利用するべきだと言えます。社会保険料が安くなるということで安易には飛びつくべきではないとも言えるのではないでしょうか。

 

 

事前確定届出給与の解説ページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
少しでも役員への賞与を検討されている皆様のご参考となれば幸いです。

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