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従業員の慰安行事と交際費課税(交際費となるの?福利厚生費となるの?)

従業員の慰安行事に関して、福利厚生費、交際費のいずれかに該当するかが不明瞭となることは多いといえます。最終的にはそれが金額的に妥当かどうかというところで、判断に迷うことも多いのではないと思います。

納税者の立場からしても、税務調査が入って争った場合に、その結果がどうなるかを事前に予測しにくい部分でもあるといえるのです。納税者としては自己の税務判断の結果が予測不能な状態に不安を覚えるのは自然であるし、少しでも不明確な部分が減少して欲しいでしょう。

特に、今回取り上げる判例のように、毎年生じる税務判断の場合には、それが否認された場合は複数年分の追徴課税額も大きくなり、企業の経営にも大きな影響を与えてしまいます。

福利厚生費か交際費かという判断は困難になることが多い理由の1つとしては、法人税法第61条第4項において交際費から除かれている「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」の部分に関して、その「通常要する費用」の範囲を見極めることが難しいためであるといえます。

この点に関して、福岡地裁平成29年4月25日判決は意義あるものだと考えられる。そこで、交際費等の損金不算入制度の趣旨に関して改めて確認した上で、同判決を概観し、若干の考察を加えてみたい

 

交際費等の損金不算入制度の趣旨

 

同制度は昭和29年租税特別措置法改正の際に3年間の時限立法として導入された。時限立法とはいえ、現在まで同制度は繰り返し延長されることで存続している。

同制度導入の趣旨は、企業の冗費・濫費を抑制することによって資本蓄積をさせることにあり、わが国の競争力を高めたいという政策的な目的にあったとされている。

さらに、公正な取引の阻害の防止や正常な価格形成も趣旨に含まれている。交際費の損金算入を認めた場合には、企業による巨額な交際費支出が正常な価格形成を歪めるのではないかという問題も指摘されている。

容認されてしまうと、より多くの資金を交際費に充てられる大企業が中小零細企業との競争で有利になってしまうのである。たとえ小企業がより良い製品やサービスを提供したとしても、資金力の大きな大企業が取引先の担当者に過度な接待を行うことで契約を獲得できるような状況になってしまう。

本来、交際費は事業に必要な経費として損金算入されるべきであるものの、これらの趣旨によって法人税法上は損金不算入とされていると捉えることができる。

福岡地裁平成29年4月25日判決(従業員等への「感謝の集い」に関する税務訴訟)

ここでは、裁判例の概要を簡単に述べます。

原告は養鶏事業、食料品販売事業等を営む資本金6億円の株式会社であり、交際費等の損金不算入会社に該当することになります。原告は自社の従業員、下請け会社の従業員に対して、「感謝の集い」という行事を年に1度行っていました。参加人数は1,000名程度で、リゾートホテルの宴会場を利用して、日帰りの日程で開催していていました。

本件行事では、一人当たり12,000円の午餐のほかアルコール等の飲食が提供され、ピアノ演奏や歌謡コンサートも模様され、会社の支出総額は2,100万円ないし2,700万円となり、参加者1人あたりの費用としては2万2,000円ないし2万8,000円に上っていたのです。

かかる費用を損金算入して確定申告を行っていました。しかしながら、原処分庁が「この金額が、平日の昼の時間帯に、開演から終了まで4時間ないし4時間50分と いう比較的短い時間で行われた慰安行事に費やされた額としては極めて高額 であることは明らかである。したがって、本件行事は、法人が費用を負担して行う福利厚生事業として社会一般的に行われていると認められる行事の程度を著しく超えているといわざるを得ない。」とし、同費用は交際費に該当すると判断して損金不算入として更正処分を行ったのです。この時点で、一般的な感覚ですと「そんなに高いとも言えないのではないか」と思われるかもしれませんが、国税の立場からすると高いということで、国税サイドと社会一般の感覚では大分ずれがあるような気がしますね。

かくして、これを不服とした原告が原処分の取り消しを求めて提訴を行うこととなりました。

 

結果的には、原告である納税者が勝訴しました。

判決では、支出した費用だけに着目するのではなく、開催目的、規模、頻度、内容、効果なども含めて総合的に判断するのが相当として、非日常的な体験を従業員にしてもらうための支出として「通常要する額」を超えて高額とはいえないとしたのです。これまで、交際費課税に関しては金額だけ見て画一的に不相当に高いということで税務署に否認されてきた事例が多かったのですが、この判決により、その流れも変わるかもしれませんね。

 

個人的には、福利厚生の目的の1つとして、従業員の士気を高めるという目的があるのであれば、会社が普段の従業員の努力に報いるために特別な配慮を行い、一定程度は費用が高くなるのは当然であると思っているので、国税サイドにも積極的に従業員に対する支出に関しては認めていってほしいのですが。もちろん、あまりにも過度な支出に関しては、法人税法における交際費課税や所得税法における給与所得課税が行われる可能性もあるでしょうが、それは相当な金額に上った場合で良いのではないかと思います。

 

皆様経営者様が社員の方々のために慰安行事を行おうとする場合には、それが交際費となってしまって損金不算入とならないか悩まれることもあると思いますし、正直、我々税理士でも判断が微妙となることがあります。何しろ、裁判までいくようなグレーゾーンでもあるわけですから。しかし、この判決からは、納税者サイドは少し勇気づけられるのではないでしょうか。もちろん、その開催目的や効果などをしっかりと検討した上ではんだんしなくてはなりませんが。

 

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