外国税額控除と配当所得の関係。【特定口座の年間取引報告書の配当など】

外国税額控除配当所得の関係に関して、渋谷の税理士が見解を書いております。


外国税額控除とは、配当金に対して外国で所得税を支払っているのに、日本でも所得税を満額課税するようでは、所得に対する二重課税が発生してしまうので、それを避けようという制度です(所得税法第95条)。海外でも課税されて、日本でも課税をされると、株式投資等そのものの旨味も減ってしまいますよね。

 

外国税額控除を受ける海外のイメージ図。

 

個人の所得税の確定申告の時期となりますと、毎年多くの方の配当所得の確定申告の代行も承っております。その際に、証券会社が発行してくれる特定口座の年間取引報告書などをお預かりしますが、外国株式等への投資がある場合には、外国で所得税の源泉徴収税額が年間取引報告書に記載されています。

 

こちらの配当所得に係る外国の税金に関しても外国税額控除の適用は可能です。しかし、ここからは少しどうしても専門的な話になってしまうのですが、次のような疑問を持たれる方も多いものです。

1.申告分離課税の場合は外国税額控除は使えるのかどうか。

 

2.使える場合、上場株式等に係る譲渡損失との通算後の金額を調整国外所得金額とするのかどうか。

 

3.前年以前の上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除がある場合は、その損失額を控除した後の配当所得の金額を調整国外所得金額とするのかどうか。

 

※一般の方には少々小難しい用語も出てきてしまい、申し訳ありません。外国税額控除と配当所得の関係がそもそも結構難しい話なので簡単な説明が難しい部分もありますので。

 

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除を説明する税理士イメージ。あくまでも我々の税理士事務所の見解と言うことでお話を進めさせていただきます。

まず、配当金については総合課税、申告分離課税という申告方法がありますが(申告不要の場合もあり)、申告分離課税でも外国税額控除は使うことができます。適用可能な訳です。この点から、次の項目で見てみたいと思います。







特定口座年間取引報告書の配当を申告分離課税とした場合でも、外国税額控除は適用可能?

証券会社が毎年1月あたりに送付してくれる特定口座年間取引報告書の配当を、申告分離課税とした場合でも、外国税額控除は適用可能だと考えられます。

 

前提として、外国税額控除額の算式は次の通りです(所得税を復興税と置き換えると、復興税の控除限度額の計算式となります)。

 

所得税の控除限度額=その年分の所得税額×その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額

 

所得税法施行令を見ると次のように書いてあります。

 

以下、施行令222条より

 

第二百二十二条  法第九十五条第一項(外国税額控除)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の居住者のその年分の所得税の額(同条の規定を適用しないで計算した場合の所得税の額とし、附帯税の額を除く。)に、その年分の所得総額のうちにその年分の調整国外所得金額の占める割合を乗じて計算した金額とする。
2 前項に規定するその年分の所得総額は、法第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(次項において「その年分の所得総額」という。)とする。
3 第一項に規定するその年分の調整国外所得金額とは、法第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条の規定を適用しないで計算した場合のその年分の法第九十五条第一項に規定する国外所得金額(非永住者については、当該国外所得金額のうち、国内において支払われ、又は国外から送金された国外源泉所得に係る部分に限る。以下この項において同じ。)をいう。ただし、当該国外所得金額がその年分の所得総額に相当する金額を超える場合には、その年分の所得総額に相当する金額とする。

 

一般の方が2項を読むと、申告分離課税とすると、総合課税ではないから総所得金額と言われてしまうと申告分離課税の配当所得は総所得金額を構成しないので、申告分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額に関しては総所得の対象外であり、1項において、「所得総額のうちにその年分の調整国外所得金額の占める割合」との文章があるため、国外所得金額にも申告分離課税の配当所得は当てはまらないので、外国税額控除は申告分離課税の場合には適用不可とも一旦は読めるでしょう。少々複雑な言い回しで申し訳ないです。

 

居住者用の外国税額控除の税務署案内を読む専門家のイメージ。

しかし、税務署の「外国税額控除を受けられる方へ(居住者用)」という書類に目を通すとわかるのですが、実際には、申告分離課税の配当所得も外国税額控除の適用を受けられるのです。誤って理解してしまって外国税額控除を受け忘れてしまっては大きく損をしてしまいますよね。節税どころか、反対に過大に税金を納めることになってしまうわけです。


その年分の所得総額は、純損失や雑損失の繰越控除前の総所得金額分離短期・長期譲渡所得金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額上場株式等に係る譲渡所得等の金額申告分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額先物取引に係る雑所得等の金額退職所得金額山林所得金額の合計額となっています。そう、申告分離課税の配当所得に関しても含んでよいと案内を出しているわけですね。

 

そして、その年分の調整国外所得金額に関しても、上記と同様に申告分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額を含んでいるのですね。そうすると、外国税額控除を使っても問題ないのではないかということになってきますね。

 

通算と配当所得の外税控除

続いて、申告分離課税の配当所得について、調整国外所得金額計算ではどの金額を使うのかと言う問題があります。

外国株式による配当所得が出ているとしても、別途、特定口座年間取引報告書の中で上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じているとします。この場合には、譲渡損失と申告分離課税の配当所得とを通算(相殺)することができます。

配当所得と譲渡損失の損益通算後の所得を調整国外所得金額として使うのでしょうか?

こちらについては、損益通算後の所得を利用するべきでしょう

例えば、100万円の配当金があったとしても、それが上場株式等に係る譲渡損失の金額との損益通算により打ち消されてしまうようであれば、配当所得に係る調整国外所得金額はゼロ円となるわけです。

 

 

繰越控除と配当所得の外税控除

さて、損益通算後の金額をその年分の調整国外所得金額として使うとしても、もしも、前年以前3年間の間から繰り越された上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の金額がある場合はどうなるでしょうか。こちらに関しても細かく、ちょっとややこしい論点ですが、繰越控除額を差し引いた後の金額を調整国外所得金額として利用すればよいと考えております。

一方で、計算式の分母に当たるその年分の所得総額はと言うと、繰越控除前の金額を使うものと捉えております。ややこしいですが、分母と分子で、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の前の金額か後の金額かが異なるのですね。

このあたりは非常に細かい問題ですし、プロの税理士の先生は、念のためにご自身でもご確認していただき、ご判断ください。

外国の配当所得の調整国外所得金額の参考規定:措令4の2E及び措令25の11の2S

 

配当金外国税額控除に関して、こちらのページでご説明したことを結論としてまとめますと、以下のようになります。

申告分離を選択した配当所得に関しても外国税額控除を受けることはできる


上場株式等に係る譲渡損失との通算後の配当所得の金額を調整国外所得金額とする(その年分の所得総額も損益通算後)。


その年分の所得総額は上場株式等に係る譲渡損失の金額を控除前の金額を使用し、調整国外所得金額は上場株式等に係る譲渡損失の金額を控除後の金額を使用する。



こちらの結論が皆様のお役に立てればと思います。まずは、証券会社の年間取引報告書に外国所得税の額が出てきたら、外国税額控除という優遇税制の適用の可能性があると言うことだけでも覚えておいてくださればと存じます。


外国税額控除と申告分離課税に係る配当所得に関して、あくまでも当税理士事務所の見解を記載したページですので、こちらのページに情報に関しての責任は負えませんので、この点はご理解くださいませ。執筆時点での税制によっており、また、その時点での税務署の見解に基づいております。


こちらの配当所得と外国税額控除の論点は投資を行われている多くの方とって重要な論点なのですが、中々ネット上では書いてありません。もしも、少しでも配当金を得られている皆様のお役に立てていましたら、皆様のブログやHPにて、こちらのページやトップページをご紹介いただければ幸いでございます。

 

最後までご覧になってくださりありがとうございました。皆様のお役に立てればと存じます。特定口座年間取引報告書に外国所得税の額の金額の記載がありましたら、外国税額控除の適用は忘れないようにしてくださいね。確定申告の際には、必ず「外国税額控除に関する明細書」という書面を添付する点はご注意くださいませ。

 

 

渋谷区恵比寿のセンチュリーパートナーズの外国税額控除と配当所得に関するホームページをご覧いただき、ありがとうございました。所得税の確定申告のご依頼をご検討の方は「渋谷の税理士の確定申告のページ」をご覧くださいませ。

 

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